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2017-12-15  新規事項追加についての備忘録

審査基準の「第Ⅳ部第2章、3.新規事項の具体的な判断」には、補正が新規事項の追加に該当するか否かについて、3.1、3.2、3.3の3つ類型を挙げて判断する旨が記載されています。

 

3.1 当初明細書等に明示的に記載された事項にする補正

3.2 当初明細書等の記載から自明な事項にする補正
補正された事項が「当初明細書等の記載から自明な事項」といえるためには、当初明細書等の記載に接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、補正された事項が当初明細書等に記載されているのと同然であると理解する事項でなければならない。

 

上記の3.1および3.2については以前から取られていた判断手法であり、ソルダーレジスト大合議判決の前後で変更はありません。

そして、ソルダーレジスト大合議判決によって加わった判断手法が、次の3.3です。

 

3.3 「当初明細書等に記載した事項」との関係において新たな技術的事項を導入しないもの

補正された事項が3.1及び3.2のいずれにも該当しない場合であっても、「当初明細書等に記載した事項」との関係において新たな技術的事項を導入するものでなければ、その補正は許される。

 

要するに、ソルダーレジスト大合議判決によって補正できる範囲が広がったと考えられます。

図に書けば以下のようになるでしょう。

 

審査基準の3.3の中には、次のように記載されています(3.3.1(1)b)。

 

・・・補正により新たな技術上の意義が追加されないことが明らかな場合は、新たな技術的事項を導入するものではない。したがって、このような補正は許される。例えば、削除する事項が発明による課題の解決には関係がなく、任意の付加的な事項であることが当初明細書等の記載から明らかである場合には、この補正により新たな技術上の意義が追加されない場合が多い。

 

ここがポイントと思われます。要するに、「発明によって解決する課題を変更する技術的事項」は「新たな技術的事項を導入するもの」に該当するため、新規事項の追加となる、と私は解釈しました。

 

これと同じようなことが「新規事項の追加に関する、判決の傾向と特許庁審査基準等との対比」の2.2に記載されていました。以下にこの論文へのリンクを示し、該当箇所を引用します。

https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/2908

「・・・新規事項追加に当たるか否かの判断においては,補正・訂正に係る構成と発明の課題との関係が重視され,補正等に係る構成要件が発明の課題の解決に関係する場合には「新たな技術的事項を導入するものである」と判断される場合が多く,・・・・」

「・・・補正(訂正,分割)により削除される事項,追加される事項が発明による課題の解決には関係がない場合は新規事項追加とならない場合が多い・・・」

 

審査基準の「第Ⅳ部第2章」の3.3.1(2)bには、次のように記載されています。

「請求項の発明特定事項を下位概念化する補正が当初明細書等に明示的に記載された事項又は当初明細書等の記載から自明な事項までは下位概念化しない補正であっても、この補正により新たな技術上の意義が追加されないことが明らかな場合であれば、新たな技術的事項を導入するものではない。したがって、このような補正は許される。」

そして、その例として以下の例2が示されています。

(例2):請求項の「記録又は再生装置」という記載を「ディスク記録又は再生装置」とする補正
(説明)
この例では、当初明細書等に具体例として記載されているのはCD-ROMを対象とする再生装置である。一方、当初明細書等のその他の記載では、請求項に係る発明が記録及び/又は再生装置が動作指令を受けない場合の給電を調節することによりバッテリの電力消費を低減することを目的とした発明であること等が記載されている。よって、当初明細書等のその他の記載内容に照らせば、CD-ROMを対象とする再生装置だけでなく、どのようなディスク記録及び/又は再生装置であっても、適用が可能であることが極めて明らかである。

これを図に書くと以下のようになるかと思います。

さらに(例3)として、以下が示されています。

例3:請求項の「ワーク」という記載を「矩形ワーク」とする補正
(説明)この例では、当初明細書等には本願発明のコーティング装置の塗布対象がガラス基板、ウエハ等の「ワーク」であることが明示されている。具体例として記載されているのは、ほぼ正方形のワークのみである。しかし、「矩形」は代表的なガラス基板の代表的な形状であることが明らかであるので、「矩形ワーク」とする補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内でするものである。

これを図に書くと以下のようになるかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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