• 化学、材料、食品系特許の実務

  •  

2019-11-19  チャレンジャーの回答(前回の続き、B氏~G氏のクレームドラフティング)

 

一昨日はA氏のクレームについて記載しました。

 

A氏のクレーム案等は、こちら↓です。

チャレンジャーの回答(A氏のクレームドラフティング)

 

本日は、その続きです。

B氏からG氏まで、クレーム案を見ていきます。

 

 

■B氏の案■

【請求項1】
成分Yを含むガラスであって、
前記ガラスを構成する成分100質量%に対し、前記成分Yが10質量%を超え70質量%以下である、前記ガラス。

======(以下B氏の解説文)
※Y量の下限のみの限定では記載不備になるかと考え、一応上限を設定しました。
効果Aを出すためにAが30%は必要と考え、Yの上限は70%としました。
======

 

B氏の案ですが、X成分が登場していません。

 

そこで、プリアンブルの
「成分Yを含むガラスであって、」を
「成分Xおよび成分Yを含むガラスであって」
に変更した方がよいでしょう。

 

次に、B氏の解説文に、

「Aが30%は必要と考え、Yの上限は70%としました。」

とあります。

 

ここで、Yの上限を70%に限定すれば、X成分の下限は30%に限定されますが、

X成分の上限が50%であることは限定されていません。

 

また、不純物が10%以下であることも限定されていません。

 

これらを限定する構成要素を加えた方が良いと思います。

 

 

■C氏の案■

【請求項1】
成分Xおよび成分Yを含むガラスであって、
前記ガラスの90~100質量%が前記成分Xまたは前記成分Yであり、
前記ガラスの30~50質量%が前記成分X
である、ガラス。

 

ここで、私の案を再度記載してみます。

 

【請求項Z】
成分Xと成分Yとを必須成分として含有し、
成分Xの含有率が30~50質量%であり、
成分Xと成分Yとの合計含有率が90質量%以上である、ガラス組成物。

 

そして、C氏の案と見比べてみますと、
同じことを言っているように読めます。

したがって、C氏の案は、これで良いと思います。

 

 

あえてC氏の案で、気になる点を1つだけ挙げるとすると、

 

前記ガラスの・・・・・・であり、
前記ガラスの・・・・・・
である、ガラス。

の部分です。

 

例えばですが、

「赤いリンゴ」

という日本語は正しいです。

 

また、

「リンゴは赤い」

も正しい日本語です。

 

しかし、

「赤いリンゴは赤い」

は正しくない日本語です。

 

これは明らかだと思います。

 

それでは、

前記ガラスの90~100質量%が前記成分Xまたは前記成分Yであり、
前記ガラスの30~50質量%が前記成分X
である、ガラス。

 

はどうでしょうか。

 

これは「リンゴは赤いリンゴ」と言っているのと、かなり近いです。

 

よって、上の2行の「前記ガラスの」を消した方が良いと思います。

 

ただし、このような「リンゴは赤いリンゴ」というような書き方の

クレームはよく見かけます。(プロが書いたものを含む。)

 

意味は通じますし、権利範囲に影響もないと思いますので、

「リンゴは赤いリンゴ」の書き方で書いても、特に問題はないようにも思います。

 

好みの問題かもしれません。

 

よって「リンゴは赤いリンゴ」の書き方で書きたい方は書けば良いでしょう。

(私はそのようには書きませんが。)

 

 

 

 

■D氏の案■

成分X、成分Yを含み、
成分Xの含有率が30~50質量%である、
ガラス(ただし、成分Xを40質量%、成分Yを10質量%、成分Zを50質量%含むガラスを除く)。

 

 

正直言って、私は、この「除くクレーム」が提案されるとは予想していませんでした。

 

たしかに「なるべく広くなるように」とするのであれば、
「除くクレーム」でも良いと思います。

(ただし、引例に対して進歩性がないと判断されるでしょうから、権利化できる可能性は非常に低いと言わざるを得ないでしょう。)

 

D氏の案には
「成分Xと成分Yとの合計含有率が90質量%以上である」
の構成要件がありませんが、

 

この構成要件が無くても新規性があると言えないこともないので、
上記の請求項1で良いとも思えます。

 

そして、審査段階で、この構成要件を加えて行けばよいかもしれません。

 

 

 

■E氏の案■
少なくとも成分Xと成分Yを含有するガラスであって、
該成分Xの含有量が30~50質量%、
該成分Yの含有量が40~70質量%、
該成分Xと該成分Yの合計の含有量が90質量%以上、
であることを特徴とするガラス。

 

 

E氏の案は良いと思います。

3行目の「該成分Yの含有量が40~70質量%、」は無くても良いと思いますが、記載しても問題はないと思います。

 

 

 

 

■F氏の案■

【請求項1】
性能Aを有するガラスであって、
成分xと成分yを含み、
成分xの含有率が30~50質量%であって,
その他の成分が10質量%以下であるガラス。

 

F氏の案は良いと思います。結局、私の案と同じことを言っていると思います。

 

 

 

■G氏の案■

組成成分としてXおよびYを含み、
前記Xは30乃至50質量%であり、
前記組成成分の不純物の合計は10質量%以下であって、
8mm厚さのフロート板の許容荷重が15000N以上、10mm厚さのフロート板の許容荷重が21000N以上、12mm厚さのフロート板の許容荷重が29000N以上である、
強化ガラス。

 

 

問題文に「記載されていない事項については、良心的に仮定を設定して下さい。」

と記載されていますので、これに基づいて

「8mm厚さのフロート板の許容荷重が15000N以上、10mm厚さのフロート板の許容荷重が21000N以上、12mm厚さのフロート板の許容荷重が29000N以上である、強化ガラス。」

 

の部分を記載して下さったと思います。

 

これはこれで特に問題はないです。

 

G氏のクレームにおいて、私が気になるのは、上記のA氏の場合と同じですが、

プリアンブルに本発明の特徴部分は書かない方がよいと思う、

という点だけです。

 

 

 

まとめ

以上、A~G氏まで、7名の方にクレーム案を応募いただきました。

どうも有難うございました。

 

ご協力下さった7名の皆さまには、感謝申し上げます。

 

最後に、繰り返しになりますが、

クレームの内容は、さまざま要因によって変わるべきもので、

何が「答え」なのかは、ケースバイケースですし、

唯一の答えがあるものでもない、というのが前提になります。

 

 

したがって、A~G氏のクレームが正しく、私の案が正しくないというケースはありえます。

 

 

 

 

 


本ページが更新された際に、その旨をメールで連絡します。ご希望の方はメールアドレス・姓名を入力し、「確認」ボタンをクリックして登録してください。
メルマガ登録欄
メールアドレス(必須)
氏名(必須)
TOPへ戻る