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2016年8月16日
補正に関する裁判例

新規事項の追加に関する裁判例がでたのですが、何でこんな審決がでるのか理解し難いですね。

平成27(行ケ)10245  審決(無効・不成立)取消
平成28年8月24日判決 審決取消(2部)
特許権 (臀部拭き取り装置並びにそれを用いた温水洗浄便座及び温水洗浄便座付き便器)

無効審判において、
「便座昇降部によらずに便器と便座との間に間隙を設けることは,本件特許出願前に公知であったから,便座昇降部により便座が上昇された際に生じるものに限定されない便器と便座との間隙は,当初明細書等に実質的に記載されていた」

と判断された後、審決取消訴訟において、
「便器と便座との間隙を形成する手段として,便座昇降装置のみをその技術的要素として特定する発明について,便座昇降装置以外の手段を導入することは,新たな技術的事項を追加することであり,本件補正は,新規事項の追加となる。その手段が公知であることは,新規事項の追加にあたらないとする理由にはならない。

と判断されたのですが、裁判での指摘が妥当です。当然ですが。

なぜ、審決において「出願前に公知であるという理由で、当初明細書等に実質的に記載されていた」となるのか、玄人であるはずの審判官の判断とは思えません。公知であることと当初明細書に実質的に記載されていることとは無関係であることは、知財をそれなりに知っている者からすれば、常識中の常識です。

このようなわけのわからない審決を出す審判官もいるということを認識しておかなければならないということだろうと思っています。

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