• 化学、材料、食品系特許の実務

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2019-04-01  製造方法の発明は特許出願せずにノウハウにした方が良いのか?

  

 

特許出願するか、それともノウハウとして秘匿すべきか

の主な判断基準として、

拙著「ノウハウ秘匿と特許出願の選択基準およびノウハウ管理法」

には8つの基準を挙げ、

そのうちの1つ(選択基準4)として、

「他社の侵害発見が容易か?」

を挙げました。

 

実際、私がこれまでに頂いた、

「特許出願しないが、明細書を作ってほしい」

という依頼は、すべて「方法の発明」についてです。

  

これは方法の発明が侵害発見が困難であると認識されているためであると思われます。

 

これについては

「ある程度、妥当な考え方」

であるとは思います。

 

しかし、104条や104の2を考慮すると

必ずしもそうとは限りません。

 

これについて

拙著「ノウハウ秘匿と特許出願の選択基準およびノウハウ管理法」

のP43~44には、次のように書きました。

————————–

 製造方法および単純方法(分析方法等)の発明は製品から侵害を発見することが困難であるため、ノウハウとして秘匿化するケースがある。

 企業Xが自社の特許発明である物の発明を実施(製造販売等)しているか否かは、企業Xが販売している商品等を市場から調達し、分析等すれば判断できる可能性が高いが、製造方法や単純方法の発明を企業Xの工場内で実施されているかを調べることは極めて困難であるため、実質的に製造方法および単純方法の発明は権利行使できず、そうであるならば製造方法および単純方法の特許権は取得しないという考え方である。

 しかし、製造方法の特許であっても、日本の場合であれば侵害立証を容易にする法制(特許法第104条、第104条の2 )が整っている(図2.3 参照)。特に特許法第104条の2 の「具体的態様の明示義務」の規定によれば、例えば、競合他社であるB 社が自社( A 社)の製造方法に係る特許権を侵害していると確信し、B社に対して、自社(A社)の特許権を侵害しているとの理由で訴えた場合、もし、B社が侵害していないというのであれば、原則として、どのように製造しているのかを明らかにしなければならない。したがって、製造方法および単純方法の発明は侵害の発見が困難とは必ずしも言えない。

—————————-

また、 コンプライアンスの観点から考えても、方法の発明について特許権を取得する利益はあります。

これについては、逆の立場で考えてみると分かりやすいと思います。

競合他社が製造方法の発明について特許権を取得した場合、

その製造方法を自社工場内で実施しても

バレる可能性は低いのだから実施してしまおう、

と判断するでしょうか?

 

かなり多くの企業では、

バレる可能性は低いけれど

でも、コンプライアンスの観点から実施するのはやめとおこう、

と考えるのではないでしょうか?

もし、そのように考えるのであれば、

それだけで競合他社からすると製造方法

の特許権を取得したメリットを享受できたことになります。

 

ということは、自社が製造方法の発明

について特許権を取得した場合に

競合他社も同様に考える可能性が高く、

そうであるならばそれだけで製造方法の特許権を

取得するメリットがあることになります。

 

もちろん、「だから製造方法でも特許出願すべきだ」

と言うつもりはありません。

ケースバイケースですが、

製造方法だから特許出願しない、

と画一的に考えることは間違っているとは言えます。


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