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2019年10月22日
自主研修会を開催しました。

 
昨日の夜は、弁理士会で
 
自主研修会「より良い明細書・意見書を目指して」

を開催しました。
 
 
 
今回の講師は松山裕一郎先生にお願いし、

「サポート要件を深掘りします~カゴメ×伊藤園などなど判決色々検討するの巻」

という題目でご講演頂きました。
 
 
 
松山先生は、「特許の鉄人」で私と名勝負(?)を演じた大先生ですね。
 
 
 
今回は20名くらいの方が集まりました。
 
 
 
松山先生が受講者へどんどん話をふって、

意見を求めるようにして進めてくれたため、

過去最高にディスカッションが盛り上がりました。

(ヒートアップして一触即発の場面もあったかも)
 
 
 

論点はたくさんあったのですが、

松山先生が取りあげた主な論点は、

(1)パラメータ特許って化学分野でしか成り⽴たないのか︖

(2)クレームの全範囲で効果を実現できる必要は本当にあるのか︖

という二点です。
 
 
 

この論点について、一応、私の意見をメモしておきます。
 
 
 

 
 
(1)パラメータ特許って化学分野でしか成り立たないのか?
 

機械系ならば、パラメータ特許はいくらでも有り得ますよね。

例えば、

「・・・・・・という特殊な試験をしたときに、・・・・・・という結果が得られる○○部品」

は、審査官からすると新規性がないと言い難いので、

特許査定がでることが(そこそこの頻度で)あります。
 
 
 

この場合、公知物(製品とか)を含んでいたとしても、

特許査定がでてしまうケースがあるので、

この場合、同業他社は困ったことになります。
 
 
 
もちろん、理論的には無効理由があるわけですが、

実際のところ無効理由がある(新規性がない)ことを

立証できる証拠をそろえることは容易ではありません。
 
 
 
それから、例えば

「A部分が10~20cmである・・・・・装置」

のようなパラメータ発明(数値限定発明)についても、

特許査定を取れる場合はあります。
 

実際、私自身、このような特許をたくさんとっています。
 
  

このような発明の場合、ほとんどのケースで、

「A部分を10~20cmに調整することは設計事項である」

と審査官に判断されて進歩性なし、

という拒絶理由通知をもらうことになります。
 
 
しかし、ここからうまいこと「課題が新規である」という

ストーリーを作ることができれば

設計事項との判断がひっこめられて

特許査定が出る場合は(そこそこの頻度で)あります。
 
 

例えば私のケースでいえば、この本

の第3章に載せておいたペットボトルのケースを

典型例として挙げられます。
 
 
ペットボトルの一部分の長さと角度を限定しただけで

「設計事項だから進歩性なし」

との拒絶をくらったものの、

課題が新規だから設計事項ではない、

と真っ向勝負で反論し、

その後、めでたく特許査定を得たケースです。
 
 
 
うまいこと「課題が新規である」というためのストーリー(主張パターン)を

上記の本(進歩性欠如の拒絶理由通知への対応ノウハウ)のP228~P229 に記載しておきましたので、
 
よろしければ本をご覧ください。

 
 


 
(2)クレームの全範囲で効果を実現できる必要は本当にあるのか︖
 
 
原則としては、「ある」と考えます。
 
 
少なくとも、審査段階において「クレームの全範囲において効果あり」

(=クレームの全範囲において課題を解決できる)
 
と審査官が判断することが必要で、

その場合にサポート要件が認められますし、
 
その効果が高いまたは異質である場合は進歩性が認められ、

特許査定がでるわけですから、

原則として「ある」ということで良いと思います。

 
ここで「クレームの範囲に効果を発揮しない部分を含んでいても、

その部分については権利行使できない、または権利範囲外と考えればよい」

という考えもあるかと思います。
 
 
  
この考え方は正しいと思います。
 
 
しかしながら、そうであったとしても、審査段階においては

少なくとも審査官が「クレームの全範囲において効果がありそうだ」

と判断してもらうことが必要ですので、
 
結論としては上記の通り、

原則として、クレームの全範囲で効果を実現できる必要がある、

と考えます。
 

 

白熱の研修会は定刻の8時30分になっても終わりそうもなかったのですが、
 
泣く泣く打ち切り、

戦いの場を弁理士会館から、隣の霞が関ビルへ移します。
 
 
といっても霞が関ビルの飲み屋に到着すると戦いは終わり、

(初めから戦っていないが)

楽しい時間が始まります。
 
 
先日開催された「AI vs 人間の商標対決」

の裏情報のようなものも飛び交います。
 
(内容は書けない。絶対に。)
 

 
そして、飲み会にて、「特許の鉄人」のプロデューサーである加島先生から、

1月に開催する「第2回 特許の鉄人」の

お役目を仰せつかりました。

 
ある意味、選手よりも責任重大なお役目ですので、

今から緊張してきました。
 
行きたくないです。
 
 

また、この自主研修会の次回の講師および次々回の講師も決定しました。
 
 
次回は(飲み会で私の隣に座っていた)奥村先生にお引き受け頂きました。
 
 
奥村先生も「特許の鉄人」に選手で登場した大先生ですね。
 

かなり面白そうな話をして下さるようですので、

今から楽しみです。
 

次回の自主研修会は12月の予定です。
 
12月は懇親会(=飲み会)も開催します。

ご興味があればご参加ください。

(しかし残念ながら弁理士限定)
 

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