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2020年12月7日
弁理士業は社会不適合者の受け皿なのか?

皆さま、こんにちは、弁理士・技術士の高橋政治(たかはしまさはる@ソナーレ特許事務所)です。
 
 
今回のブログは、パテントサロン管理人である大坪和久さんの企画で行われている「知財系 Advent Calendar 2020」の一環として投稿いたします。
 
 
いつもとは違う内容のことを書こうと思い考えてみたのですが、
 
 
弁理士業界(知財業界)に生息する方々ついての私の感想のようなものを書いてみたいと思います。
 
 
題して「弁理士業は社会不適合者の受け皿なのか?」です。
 
 

 
 
皆さんご存知のとおり(?)、弁理士業界(知財業界)は変わった人が結構いますね。
 
 
かくいう私も、世間一般から見ると変わった人ということになるのでしょう。
 
 
まずは、変わった人の代表である私が、どのような経緯で弁理士業を始めるに至ったのか、その経緯から書いてみようと思います。
 

 
 
私は千葉県の田舎に育ち、小学校から高校まで、家から徒歩または自転車で通える地元の公立の学校に通っていました。
 
たいして勉強もせず、学校ヘは友達と遊ぶためだけに通っていました。
 
劣等生ではなかったですが、特に成績が良いわけではなく、普通の子供だったような気がします。
 
その後、自分の中ではかなり頑張って勉強して大学へ入りました。
 
しかし、結局はまたもや遊ぶためだけに大学へ通いました。麻雀、テニス、酒で大学生活の9割を占めていたと思います。
 
 
 
遊び続けた学生生活が終わりに近づいてきたころ、人並みに就職活動もしなければならなくなったのですが、これまで将来のことを考えることも無く遊び続けてきたので、やりたい仕事もなく、入りたい会社もありませんでした。
 
しかも、バブル崩壊直後の就職難の時代です。
 
 
就職しないわけもいかないので、就職説明会のようなところへいったり、とりあえず面接試験を受けてみたりもしましたが、
 
正直者の私の体からは、その会社に興味がない雰囲気が相当量放出されており、それを抑えることができないわけです。
 
入社試験を受けても受かるはずがありません。
 

 
これは困ったなぁ、と思っていたら、なぜか鉄鋼会社の面接試験に合格し、結局、そこしか就職するところがなかったので、その鉄鋼会社に就職しました。
 
 
 
しかし、これは正直いって失敗でした。
 
今とは時代が違いますが、超長時間労働、休日出勤は当たり前、一部ではパワハラも横行しており、毎日が地獄でした。
 
そして、その地獄の中で、自分はサラリーマンに向いてないと確信しました。
 
同じ会社の中にいるのに、ある人はパワハラを受けることも無く、楽しそうに生活しています。
 
全く仕事をせず、成果も出していないのに、うまく上司に気に入られて出世していく人もいます。
 
 
一方で、私のように仕事は一生懸命にやって、良い成果も出し、会社の利益にも貢献していましたが、
 
全く評価されず、昇進も見送られ、パワハラを受けまくって精神的にも肉体的に凹んでいる人もいます。
 
 
 
そんなことで、その地獄のような生活から脱出するために、つまり、会社を辞めるためにはどうすれば良いのか、
 
サラリーマンをやらないとしたら、どのような仕事をして生きていけばよいのかを、
 
やっとマジメに考えることになりました。
 
 
 
そして、弁理士業という仕事を知ることになります。
 
これは自分が発明者で特許出願を行うことになり、
 
上司に明細書というものを書くように言われ、イヤイヤ書いてみたところ、不思議と楽しく、夜中に帰宅してからも休日も率先して自宅で楽しく明細書を書き、これって自分に合っている仕事なんじゃないか、と思ったことがきっかけでした。
 
しかも調べてみるとパワハラとかは無さそうな仕事です。
 
そして、32才のときに会社を辞め、特許事務所へ転職しました。
 
 
 
この転職で私の年収は半分以下になりましたが、このときは独身でしたし、大した問題ではありませんでした。
 
地獄から解放され、やりたい仕事を見つけられ、本当にすがすがしい気分でした。
 
 
 
特許事務所に転職して、全くの初心者から始め、それなりに仕事がこなせるようになり、お客さんにも認めてもらえるようになるのに懸命に頑張りましたが、2,3年かかったように思います。
 
その後、弁理士資格を取るための勉強を本格的に始め、3回受験してなんとか合格し、弁理士登録したときは38才になっていました。
 
 

 
 

こんな感じてそれなりに苦労して弁理士業を始めるに至りました。
 
現時点で特許事務所で働き始めてから17年くらいが経ち、同業者の友達も結構いますが、割と自分のような人が多いなぁ、という印象をもっています。
 
 
つまり、私が新卒で就職した鉄鋼会社のような一般的な企業に就職しても、私と同じように、決してうまくやっていくことができないだろう、と思う人が弁理士には結構多くいます。
 
 
他人に迎合できず、上司に媚びることもできず、夜中までとりあえず会社にいるだけで仕事をしているふりをすることもできず、ただし仕事に対しては真面目に取り組んでしまう人たちです。
 
 
世の中では、会社に所属して生きている人が多数です。
 
よって、その多数に属していない(属することができない)私のような人は社会不適合者と呼んでもよいでしょう。
 
 
そういう人でも受け入れてくれるのが弁理士業。
 
 
弁理士業では、他人に迎合する必要はありません。1人で発明に向き合えばよいのです。
 
 
上司に媚びなくてよいのです。上司はもちろん、審査官にも媚びる必要はありません。
拒絶理由通知でなんか文句言われたら、我慢せずに徹底的に反論してやればよいのです。そうするとお客さまが喜んでくれます。
 
 
夜中までとりあえず会社にいる必要は無いのです。その代わり、仕事の過程は評価されません。アウトプットだけで評価されるのです。それは望むところだ。

 
 
 
見つけるのに時間はかかりましたが、弁理士業は私にとっての天職だと思っています。
 
 
いや、天職というか、これ以外にやれる仕事はないのだろう、と思っています。
 
 
 
こんな感じで、弁理士業(知財業界)は、普通の会社で働けないような私のような人間でも暖かく受け入れてくれ、働かせてくれる、有難い存在です。
 
 
弁理士仲間もほとんどが楽しい人たちです。飲み会やっても、酔ってケンカや口論を売ってきたり、机の上に吐いたり、飲み逃げするようなヤツは(ほぼ)いません。
 
 
私は弁理士業界が気に入っているし、ボケてどうにもならず、同僚やクライアントから「頼むからやめてくれ」と言われるまで、この仕事を続けてやろうと思っています。
 
 
 
ということで、弁理士業界は「私のような」または「私が愛する」社会不適合者の受け皿として機能している、とても有難い存在だと思っています。

 

※1:念のために言っておきますが、弁理士は全員、社会不適合者だと言っているわけではありません。社会不適合者であっても働くことができるとっても良い業界なんじゃないか、と言っているだけです。
※2:上記の鉄鋼会社ですが、最近は長時間労働やパワハラ等が随分と無くなって来たと、昔の同僚から聞いたことがあります。
 

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