約17年前、私は明細書を書いたことも、補正書・意見書が何かも知らないエンジニアだったのに、突然、特許事務所へ転職しました。
所員が50人程度の中規模の特許事務所へ転職したことが良かったのか、すぐに明細書と中間処理を担当させてくれました。
しかし、当然ですが、明細書は全く書けません。意見書も何を書いたら良いか分かりません。一応、自分なりに最高に頑張って作成した明細書等を上司に提出しますが、原形を留めないほど修正が入った原稿が戻ってきます。そして、なかなか厳しいお叱りも頂いたりします。
私が作った原稿を上司が全文チェックしてくれて、どのように書くべきかを細かく教示して頂ける日々が1年は継続したと思います。その後も1年くらいは、ある程度のチェックをして頂き、マズイ箇所を指摘して頂いたような記憶があります。
当時の私は、「新人が作った明細書等を2年くらいは上司がチェックしてくれて、フィードバックして頂けるのは、どこの特許事務所でも行われていること」と思っていました。
しかしながら、それなりに知財業界のことを知るに至った今、そうではないことは知っています。
かなり多くの特許事務所では新人の育成をしておらず、新人はなんとなく明細書や意見書を書いています。
その後、新人はなんとなく中堅やベテランになりますが、新人に教えることはできません。
その結果、「これは本当にプロが書いたのだろうか」と疑問をもたざるを得ない明細書が多々存在しています。どう見てもマズイ補正を行ったために、取れるはずの特許権が取れずに拒絶で終わっているようなケースも見かけます。
そこで、少しでもお役に立てば、という思いから、私は明細書や意見書の書き方に関するセミナー等を何回か開催してきました。
そして、いずれの勉強会・セミナーでも、思った以上に多くの方に参加して頂きました。参加して頂けるのは、前述の「OJTに恵まれない新人」はもちろん多いのですが、その他には、企業に所属している知財部員(弁理士を含む)の方も多いです。知財部に所属していると特許事務所が作った明細書等をチェックする立場ですが、どのように書くべきかが良く分からないと明細書等のチェックが難しいため、自分は書かないとしても明細書等の書き方を知りたい、ということのようです。
このように、私はこれまでも明細書や意見書の書き方に関するセミナーを何回か開催してきましたが、セミナーを聞くだけでは成果が不十分のような気がしていました。
私や他の先生方が話すことを聞くことは役に立つでしょうが、それを聞いたからといって明細書や意見書をプロレベルで書けるようになるかというと、「それだけでは不十分」と言わざるを得ないと思っています。
結局ところ、私が新人のときに体験したように、「実際に自分で書き、それについてチェックを受けて、個別具体的なフィードバックを受ける」しかないと思います。
これを継続していけば、かなり上達するはずです。
そこで、これを実現する勉強会を開催することにいたしました。
「特許事務所や企業知財部に入ったがOJTに恵まれていない方」に主に役立つと思います。
なお、内容はプロレベルですので、プロまたはプロを目指している方が対象です。該当しない方が参加されても難しすぎてお役に立たないはずです。ご注意ください。
上記の通り、「実際に自分で書いて見て、プロのチェックを受けて、個別具体的なフィードバックを受ける」ということを実現します。
また、参加者全員分の回答・添削とコメントを加えた動画を全員に視聴可能としますので、自分の回答に対してだけでなく、他者の回答とそれへのコメントも確認できます。これは非常に勉強になると思います。
S.Oさんの感想
いつも大変お世話になっております。昨夜、勉強会の動画を全て視聴しました。
製造方法のクレームの書き方の要点、明細書に記載すべきことなどが理解でき、また自分自身の勉強不足を痛感させられました。
また、請求項に書くべきこと、明細書に書くべきことについてご説明頂き、ありがとうございました。
私にとってはクレームや明細書の書き方を学ぶ機会はほとんどなく、貴重な勉強会でした。今後も勉強会を開催して頂けるのでしたら、ぜひ参加したいと考えています。
H.Iさん(弁理士)の感想
高橋先生、お世話になっております。
製法クレーム作成勉強会の開催ありがとうございました。
動画を拝見しましたが、新しい知見が得られとても参考になりました。
クレームドラフティングの難しさや深さに考えされられるいい機会となりましたし、また、他の参加者の方の書き込みをみると非常に細かく検討されている方もおり、刺激を受けました。
S.Kさん(弁理士)の感想
このような勉強会を開催していただきありがとうございました。
今回の勉強会で最も良かった点は、自分が作成したクレームを添削していただけ たことです。また、他の方の作成したクレームを拝見できたのも興味深かったです。
私は特許事務所に2年ほど勤務しておりますが、指導の機会もなく、市販の教本を読んで勉強するしかない状況で仕事をして参りました。お客さんにクレーム案、明細書案を送るときは申し訳ない思いでいっぱいです。ですので、このような勉強の機会をいただけることは、大変ありがたく感謝申し上げます。
勉強会は、他者のクレームやそれに対する指摘を共有できる形式が勉強になりました。